セミリタイアのため資産はいくら必要?簡単計算式で目安を知る

2020/12/18

ライフハック

 


「最近はセミリタイアや早期リタイアをめざす人が増えているみたいだけど、一体いくらの資産があったらセミリタイアできるんだろう?」


会社や仕事に縛られない自由な人生を送りたいと考える人たちの中には、定年退職を待つことなく、セミリタイアという人生スタイルを選ぶ人が多くなってきました。聞く限りでは、素晴らしい人生選択肢におもえます。


しかし、リタイアとは勤めてさえいれば自動的に入っていた給料やボーナスが完全に無くなることですから、その代わりとなる不労所得収入もしくは一生取り崩していけるほどの十分な貯蓄が必要になります。


セミリタイアする人たちのスタイルは千差万別であり、これといって決まったものはありません。2億円の資産が必要という人もいれば、数百万円の手持ちでセミリタイアを始める人もいます。


この記事では、自身も30歳代でセミリタイアして、かれこれ25年以上暮らしてきた僕シロが、セミリタイアのための資産はいくら必要なのか、ざっくりとした目安を簡単に知ることができる計算式をご紹介します


この記事は3分で読めます。






セミリタイアのために必要な資産額とは?簡単計算式で目安を知る



欧米から広まったFIRE(Financial Independence Retire Early=経済的に自立しつつ早期リタイアすること)を実践する人たちのあいだでは、早期リタイアに必要な資産は年間支出額の25倍と言われています。つまり、月々20万円の生活費がかかっている人なら、年間240万円、その25倍で6千万円が早期リタイアに必要な資産額ということになります。


この根拠はというと、米国のインデックスファンドなどから得られる利回り7%からインフレ率3%を差し引いた4%を実質的な利益としているからです。6,000万円の4%は240万円ですので、年間240万円の不労所得で生活が維持できるという計算です(この計算では税金や手数料は無視されています)。


インフレ率は一年間に物価が上昇する率です。なぜ、これを利回りから差し引くかというと、インフレとはお金の価値が下がることでもあるので、このインフレ率に従って資産を増額していかないと、実質的な資産価値が目減りしてしまうからです。このインフレ率を無視して資産を足し増ししないと、たとえ同じ利回りが続いたとしても、将来的には同じ水準の生活ができなくなってしまいます。


インフレ率が3%で推移した場合、23年間で物価は二倍になります。物価が二倍ということは、お金の価値が半分になることですから、さきほどの6,000万円は23年後には3,000万円の価値しかなくなるわけです。6,000万円の価値を維持させるためには23年後には1億2,000万円に資産が増加していなければならないのです(インフレ3%で推移した場合)。



このFIREの25倍理論はあくまでもアメリカを基準にして考えられています。しかし、早期リタイアしたい人が米国で投資運用しているとは限りませんし、インフレ率や税金、手数料も居住する国でそれぞれ異なります。実際、日本では現在インフレ率はゼロですし、利回り7%の投資先を見つけることは難しいでしょう。そこで、つぎのような簡単な計算式を使って自分の条件にあった資産額を割り出してみましょう。



【セミリタイアに必要な資産額】

  年間生活費÷(年利-インフレ率)=必要資産額



この計算式を使って、さきほどの例を計算してみると、

240万円÷(7%-3%)=6,000万円

ということになります。



6,000万円から得る利益は年間420万円ですが、インフレ率の3%分である180万円は資産に加えて、次年度の運用資産は6,180万円となります。そして、残りの240万円が生活費に使えるお金です(実際には、手数料や税金が差し引かれます)。


それにしても、セミリタイアのために6,000万円の資産を貯めるのは大変そうですね。



では、これが日本だったらどうなるのでしょうか?

日本でインデックス投信に投資を続けた場合の利回りは3~6%と言われていますので、利回り4.5%とし、現在の日本のインフレ率はほぼ0%ですから、これを元に計算してみます。



例.日本在住、年利4.5%、インフレ0%、生活費20万円の場合


 240万円÷(4.5%-0%)=5,300万円



見た限りでは、現在のところアメリカよりも日本の方がセミリタイアのハードルは多少低いということになりますね。




ライフスタイルで変わるセミリタイアで必要な資産額



セミリタイアで必要な資産額は、当然ながらその人が望むライフスタイルによって大きく変わってきます。日本で家族をもちながら、セミリタイア後もそれなりの生活水準を維持したいのであれば月50万円の生活費は必要になるでしょう。持ち家があるかないかでも変わってきます。



例.家族で日本在住、年利4.5%、インフレ0%、生活費50万円の場合


 600万円÷(4.5%-0%)=1億3,300万円



この場合はかなりの資産額になりました。必要な資産額を減らすためには、セミリタイア後も何かしらの副収入を得る必要がありそうです。


では、日本で投資利回り4.5%、独身で生活費は10万円、なおかつバイトもしくはフリーランスでの収入が月々5万円あるとしたらどうでしょう?



例.日本在住、独身、年利4.5%、インフレ0%、生活費10万円、副収入5万円の場合


 (120万円-60万円)÷(4.5%-0%)=1300万円



これだと、すいぶんハードルが低くなります。これなら毎年200万円を投資していけば、複利で5年半ほどでセミリタイアのための1,300万円の資金がつくれることになります




セミリタイア後の居住地で変わる必要資産額



では、海外の途上国に住んだ場合はどうでしょうか。途上国では銀行や信用金庫の定期預金で8%ほどの年利がつくところも多くあります。インフレは2~3%に調整されていることが多いので、ここでは2.5%とします。


現地でバイトしたり、オンラインのフリーランスの仕事で月3万円を稼ぐのは難しいことではないでしょう。また、途上国では利息に税金がかからない国もありますので、この点も有利です。また、この場合は現地通貨での預金になりますので、為替手数料や為替差損も発生しません。



例.途上国移住、独身、年利8%、インフレ2.5%、生活費5万円、副収入3万円の場合


 (60万円-36万円)÷(8%-2.5%)=440万円



どうでしょう?年200万円を貯金すれば、2年ちょっとで達成できる資金額になりました。



今度は家族で途上国へ海外移住したとして、年利8%の長期定期預金、生活費15万円、バイト5万円で計算してみましょう。



例.家族で途上国移住、年利8%、インフレ2.5%、生活費15万円、副収入5万円の場合


 (180万円-60万円)÷(8%-2.5%)=2,180万円



決して不可能な額ではありませんね。10年も頑張って貯蓄すれば貯められる資金額です。



では、家族でアメリカに移住したらどうでしょう?アメリカは都市部に住むか地方に住むかによって生活費も大きく変わりますが、ここでは仮に生活費を60万円と仮定します。



例.家族で米国移住、年利7%、インフレ3%、生活費60万円


 720万円÷(7%-3%)=1億,8000万円



このように、セミリタイアに必要な資産額といっても、居住地や投資の運用利回り、生活レベル、独身か家族がいるかによって、400万円から1億8,000万円までと幅があることが分かります。




セミリタイア後の生活のうえで何に優先順位をおくか



セミリタイアは自分の生活のうえで何に優先順位をおくかで、条件が大きく変わってきます。まずは自分の人生設計を立てるために、何が捨てられて、何は絶対捨てられないのかハッキリと取捨選択しておく必要があるでしょう


【セミリタイア後の居住地】 

  • 国内の都市部、便利な暮らしは絶対に捨てられない
  • 国内の地方や田舎で倹約しながら自然に囲まれてまったりと暮らしたい
  • 海外先進国の都市部でエキサイティングに暮らしたい
  • 海外先進国の地方で伸び伸びと暮らす
  • 海外途上国の都市部で刺激的な暮らしがしたい
  • 海外途上国の地方で現地の人と交流しながらのんびりと暮らす


【生活レベル】 

  • マイホームが欲しい
  • 賃貸マンションや借家、マンスリーマンション、アパートホテルなど
  • 持ち家も自家用車も必要ない
  • 日本食なしでは生きられない
  • 屋台飯でも全然オーケー
  • 風呂なし生活なんてできない
  • シャワーだけでも問題なし
  • エアコンなしでは生きられない
  • インターネットは高速回線でないとダメ
  • インターネットはつながればいい
  • 不便は嫌い
  • 不便は克服できる
  • 言葉ができないのは不便
  • 言葉なんて覚えればいい


【家族】

  • 独身が気軽でいちばん
  • 生活レベルを下げてまで結婚したくない
  • 自分の家庭を築きたい
  • 子供の教育が第一
  • 子供はどこで暮らしても育つ
  • 老いた両親のそばにいたい
  • 自分の人生を優先したい
  • 友達と離れたくない
  • 友達は暮らす土地でつくればいい


まあ、これらはほんの一部ですが、こういったことを取捨選択したり、優先順位をつけたりすることで、セミリタイアするための準備期間や準備するべき資産額、セミリタイア後の生活スタイルなどの輪郭が見えてくるはずです。


たとえば、20歳代からコツコツと投資を続けて40歳までに4000万円の資産を作ったとしましょう(決して不可能な額ではありません)。その資産をもって、条件の良い安定して経済発展している途上国に移住するとします。長期定期預金で年利8%、インフレ率2.5%、生活費15万円、副業収入5万円なら、どうなるでしょう?



  • 年間利息収入 4000万円×8%=320万円
  • 年間副業収入 5万円×12カ月=60万円
  • 年間生活費 15万円×12カ月=180万円
  • 余剰金 200万円



この余剰金200万円は資産額の5%です。インフレ率2.5%を差し引いても、毎年2.5%ずつ資産が増えていくことになります。このようにセミリタイアしつつも資産が増えていくバランスのとれた条件が理想的といえます。余剰金の100万円を資産増額のために使えば、複利の力で毎年収入が雪だるま式に増加します。


完全リタイアの25年後、65歳の頃には4,000万円だった資産は1億3,000万円以上になっているはずです(年5%の複利計算で)。もちろん、その100万円を毎年の一時帰国の費用に使ってもかまわないのです。その場合には、資産はインフレ分しか増加しませんが、資産価値は維持されます。


独身なら15万円あれば途上国で結構な生活レベルを維持できます。セキュリティのきいたプールやジム付きのコンドミニアムに住んで、家事はメイドさん任せ、年に2回は美味しい日本食を食べに一時帰国するという生活を維持することも可能ですね。しかも、65歳で完全リタイアする頃には7,500万円ほどの資産が残っています


しかし、これが日本やアメリカ、他の先進国で暮らすとなると、かなり節約しながらの生活を強いやられることになるでしょう。




セミリタイアでは貯蓄の取り崩しは考えない



このセミリタイアは貯めた貯金を取り崩しながら生活することが目的ではありません。なぜなら、セミリタイアは完全リアタイアのための通過点としての生き方と考えているからです


ですから、セミリタイアする年齢や時期については人それぞれですし、また資産や生活費を補充するためにバイトや副業することだってあるわけです(だからセミリタイアなのです)。20歳代で早々にセミリタイアする人もいれば、会社の早期退職制度を利用して50歳代でセミリタイアする人もいるでしょう。


資産の取り崩しをしないためには、居住地のインフレ率を注視しつつ、毎年見込まれる利回りと出費のバランスをとって生活する必要があります。こうすることで、はじめてサステナブル(持続可能)なセミリタイアの人生を過ごすことができます。


これには、投資先の調査、実際に支払うべき税金額や投資にかかる手数料、保険、ビザ代なども綿密に計算に加えることになりますので、計画性や分析力、そして何よりも自己管理能力が問われることになります。セミリタイアしたからと言って、羽を伸ばして散財したり、ボーッと毎日過ごせるわけではありません。


十分な資産も形成できて、年齢も60歳を過ぎれば、自分の残りの人生から逆算しても余剰とおもわれる資産は取り崩してかまわないでしょう。ちょっと贅沢な旅行に使ったり、趣味に費やしたり、もちろん子供がいれば資産を相続させたいと考える人もいるでしょう。しかし、これもそろそろゴールが見えてきてからの話です。また、年金に加入してきたかどうか、何の年金に加入してきたかによっても変わってくることは言うまでもありません。


40歳代までに資産の取り崩しを始めては、セミリタイアが持続不可能となって失敗に終わる可能性も大いにあります。そうなると、セミリタイア中のブランクは再就職にデメリットとしてはたらき、年齢のハンデも加わって、非常に厳しい状況になるかも知れません。くれぐれも計画性をもって、忍ぶところは忍びつつ、自由を楽しむ人生を過ごすことが成功の秘訣です。




まとめ:セミリタイアは資産家だけの特権ではない



ここまで、セミリタイアに必要な資産額を簡単な計算式を使って算出する方法をご紹介してきました。このことで分かるのは、「セミリタイアなんて一部の資産家だけができること」ではないことです。それぞれのライフスタイルによって、その難易度は変化しますが、セミリタイアは決して資産家だけの特権ではありません。


実際に僕は25年以上給料やボーナスといったものをもらわずに生きてきました。さして倹約生活をしてきたわけでもありません。投資や副業はしてきました(おもに長期定期預金、投資信託、不動産投資など)。その間に子供2人を成人させることもできました。僕は豊富な知識や能力をもった投資家ではありません。ただ、二度と会社員生活はやりたくないという強い意志だけはありました。セミリタイアに憧れる人が誰でも持つであろう「二度とない人生を自由に使って暮らしていきたい」という願望だけは強かったようにおもいます。この記事が少しでもみなさんのセミリタイア人生のヒントになれば幸いです。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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