「最近はセミリタイアして人生を有意義に過ごしている人も増えているって聞くから、俺も早々に仕事を辞めて静かな田舎にでも引っ越すかぁ」
「もうサラリーマンなんてうんざりだ。自由な時間が欲しい。さっさとセミリタイアして楽な暮らしを始めたい」
なんてことを考えていますか?でも、ちょっと待ってください。何の準備もなしに思いつきでセミリタイアしても、途中で失敗してしまうかもしれません。というかその可能性は大です。年齢にもよりますが、セミリタイアに失敗したからと言って、そう簡単にサラリーマン復帰できないケースもあります。そうなると、収入も途絶えて生活が立ちいかなくなるという最悪の事態にもなりかねません。
この記事ではセミリタイア歴25年以上の僕シロが、セミリタイアで失敗しないために知っておくべきこと、やっておくべき対策について解説していきます。
セミリタイアで失敗しないための対策
最近では日本でもライフスタイルが多様化して、定年退職を待つことなく早期リタイヤやセミリタイアする人も増えてきました。しかし、なかには無計画だったために失敗してしまったり、予想していなかったトラブルでリタイア生活を断念せざる負えない人もいます。
リタイア生活は、黙って働いてさえいれば月末には給料が自動的に振り込まれていたサラリーマン生活とは異なり、すべてが自己責任です。働くのも自由、働かないのも自由、浪費するのも倹約生活をおくるのも自由ですが、その結果はすべて自分に返ってきます。
そのため、安定したセミリタイア生活をおくるには、自由の中にも計画性をもった暮らし方が重要になります。40歳でセミリタイアする人なら、そのさき60年間の生活が立ちいくように、できるだけ自分の希望的観測を排除した現実的な視点から将来をシミュレーションしてプランを立てていく必要があります。それでも、現実にはすべてがプラン通りにはいかないものです。そのために、第二、第三のプランも考えておくべきでしょう。
ではセミリタイアで失敗しないための対策を大きく7つにまとめましたので、見ていきましょう。
移住先の選定は慎重に・プチ移住で実体験しておくこと
失敗例1:地方移住、海外移住したけど地域コミュニティに溶け込めず、住み心地が悪かった
セミリタイア後には「国内の地方や田舎に移住して、生活コストをできるだけ下げて、自然に囲まれて静かに暮らしたい」と考える人や、「海外の一年中暖かい国、物価の安い国へ移住して、のんびり暮らしたい」と考える人が多くいます。しかし、慣れない土地で暮らすのは意外と大変なものです。住み始めたらぜんぜん予想と違っていたなんてこともよくあります。
移住する前に十分な現地調査、できればプチ移住でその土地の暮らしを体験しておくことをおすすめします。国内なら少なくとも冬季と夏季、海外なら雨季と乾季など季節による住み心地の違いなどを知っておくべきです。少なくともつぎのようなことがないかチェックしておきましょう。
- 地方は物品の輸送料が余計にかかるので意外と物価が高い
- 冬が厳しい地方では冬季の暖房費や凍結防止のため水道料金が高くなる
- 田舎は自由度が増すが、不便度も増す
- 地方には都市部にはないコミュニティでの住民の役割分担や行事がある
- 海外では日本人には馴染めない習慣や文化がある
- 海外では水道水が飲用に適していないのがほとんど。洗濯物もゴワゴワになる
- 現地の言葉や習慣が分からないと、近所づきあいの仕方や町内の決まりごとが分からない
- いつまでたっても、よそ者扱いされてコミュニティに溶け込めない
- そもそも気候も食べ物も自分に合わない
副収入の道は数種類用意しておく
失敗例2:副業で見込んでいた収入がないので資産を取り崩してしまった
お金が足りなくなったときには、アルバイトや副業でサクサクッと働いて不足分を稼いでしまうのがセミリタイアの生き方です。つまり、「働く」という選択肢を残しつつリタイアすることですね。頼りにしていた投資での不労所得が見込みよりも少なくなってしまったときなど、その不足分を補うために副収入の道を開いておくことは大切です。
しかし、いざというときになって、当てにしていた副業での収入が見込めない、アルバイトが見つからないなんてことになると、最終的にはセミリタイアにとって最も大切な不労所得を生みだしてくれる自分の資産を取り崩して生活費に充てることになってしまいます。そうなると、減った資産が生み出す不労所得はさらに減少して、いっそう生活のためのお金が足りなくなり、セミリタイア生活で絶対に避けるべき悪循環がはじまります。
こういった状況に陥らないために、不労所得の収入が十分にあるときでも、定期的に自分の選んだ副業で働いて、副収入の道を確保しておくべきです。それもひとつではなく、複数の副収入の道をつくっておいた方が安心です。週に1~2回の労働なら、気晴らしにもなるでしょう。
必要な時に必要なだけ手軽に働くという意味ではクラウドソーシングを使ったフリーランスが適しています。登録さえしておけば、面倒な面接や労働契約を結ぶ必要もなく、好きな時に働いて副収入を得ることができます。
≫ セミリタイアのため資産はいくら必要?簡単計算式で目安を知る
ひとつでもいいから長く打ち込めることを見つけておく
失敗例3:セミリタイア生活に飽きた・自由な時間を持て余した
「自由な暮らしを求めて憧れのセミリタイア生活をようやく手に入れたものの、いざ始めてみたら、長年のサラリーマン生活でこれといった趣味も持ったこともなく、時間を持て余すようになった。半年もしたら、何もしない生活に飽きてきてしまった」なんてことも、セミリタイア生活ではよくあることです。
「セミリタイアしたら、やりたかったゲームを思いっきり好きなだけ遊んでやる」なんてことを思っていても、いざ始めてみると、理由のない罪悪感に襲われたり、無意味さを感じるようになったり、どこかのタイミングで飽きてしまうこともあります。
こういったことにならないためにも、セミリタイアするまえから、長く打ち込める趣味や習い事を見つけておくことをおすすめします。人間は毎日何か打ち込めることがあることで精神が安定し、それが上達していくことで喜びを感じます。もちろん、人それぞれ自分に合ったものを探せばいいのですが、それが将来的に副収入につながるもの、たとえば、英語の学習であったり、プログラミング、Web制作、動画編集、デザインやブログなどなら一石二鳥です。
僕の場合は、若いとき夢中になっていたものの、社会人になってからは全く手をつけることがなかったギターでした。友達に誘われて再び手にしたギターでしたが、楽器は練習すればするだけ上達するし、天井がないので楽しみは尽きません。見知らぬ土地で、音楽を通じて20歳も年下の若者から20歳年上のベテランまで幅広い年齢層の仲間ができたことも大きな収穫でした。また、それほど大きな収入ではありませんが、ライブ演奏などで多少の小遣い稼ぎにもなり、モチベーションの維持にもつながっています。
面倒でも人とのつながりは絶たない
失敗例4:セミリタイア後に引きこもっているうちに孤独感に耐えられなくなった
とくに独身の人の場合にありがちですが、セミリタイアしたとたんに引きこもりがちになってしまう人がいます。部屋にいるのがいちばん落ち着くとか、打ち込んでいるコトがあるなど理由はさまざまです。地方や海外に移住した人には「家の外で他人と付き合いをもつのが面倒だから、家からでない」と考える人もいます。
しかし、そんな状態が数カ月も過ぎれば、だんだんと孤独感を味わうようになります。どんなにテクノロジーが発展して家の中だけで過ごせるようになっても、人間は社会と関わりをもって暮らすのが自然な生き方ですから、外に出るのが面倒でも最低限の人とのつながりは維持するべきです。
自由な暮らしと不規則な生活は同義語ではありません。自分なりの毎日のルーチンをつくって、それを日々実行することは精神の安定につながります。一日一回は外に出かけること、朝の日光を浴びること、軽い運動をすること、自然に触れること、隣人と少しでも会話をかわすことなど簡単なことから始めるといいでしょう。心身ともに健康を維持することはセミリタイア生活を失敗しないための最重要課題です。
節約と計画性をもった出費
失敗例5:暴飲暴食と浪費で生活費を計画通りに抑えられなかった
数百万円の資産があれば「今まで我慢してサラリーマンを続けて貯めた自分の金だ。自分ご褒美に少しは贅沢してもいいだろう」なんて気持ちも起こるでしょう。しかし、いつしかそれが慢性的な浪費にかわれば、資産を取り崩すことになってしまいます。資産はあなたのセミリタイアの生活資金を生みだしてくれる大切なATMです。それをみずから壊してしまっては生活が成り立たなくなります。
セミリタイア生活を長く続けるためには、計画性をもった出費を心がけることが大切です。よほど資金に余裕のある場合は別として、たまに贅沢したいのなら、その分を節約して浮かせておくか、臨時収入を得てから、それに充てるようにするべきでしょう。セミリタイアの収入がない状態で浪費したりすれば、数百万円、数千万円など、あっという間に無くなってしまいます。
≫ 本当の贅沢とは何か?労働の代償としての贅沢って幸せな生き方?
おいしい投資話は転がっていない
失敗例6:海外移住して現地の投資話にのったら大失敗した
少ない資産でギリギリでやり繰りしているセミリタイア生活なら、もっとリターンの多い投資はないものかと考えるものです。そんなときに舞い込んでくるのが「おいしい投資話」です。不動産投資や海外投資、マルチ商法などの投資に誘われることもあるでしょう。
海外に移住すると、あなたが日本人というだけで、どこからともなくさまざまな投資話を持ち掛けてくる人たちがでてくるかもしれません。現地に先住している日本人が誘ってくることもあるでしょう。しかし、四半世紀以上も海外でセミリタイア生活している僕は断言できます。おいしい話は向こうから転がり込んでくることは決してありません。そういった話は、ほぼ間違いなく、あなたのお金を狙ったものです。
おいしい投資話はそこら辺に転がっていたり、向こうからあなたのところにやってくることはありません。あなたにお金儲けをしてもらうために、とっておきの投資情報をわざわざあなたのもとに持ち込んできてくれる人などいないのです。投資話で騙されないためには、自分の意志と責任のもと、あなた自身で注意深く調査して探していかなければなりません。他人まかせの投資は危険です。自分のお金は自分で守るしかないのです。
そういった個別の投資案件を扱うことに自信がない人は、信頼のおける金融機関で投資信託を使ったり、長期定期預金の利息によって不労所得を得るのがもっとも無難な方法です。こういった方法でも年利4~10%のリターンを得ることは可能です。逆に年利20%もでるような投資話はなかなかありませんので、眉唾モノとおもって、注意深く調査する必要があります。
不労所得は決して楽して稼ぐ方法ではありません。労働の対価として賃金をもらわない不労所得では、投資の勉強や調査を一所懸命やっても、結局一文にもならずに徒労に終わることだってあるのです。しかし、そこで怠けて他人の持ち込む投資話を鵜吞みにしてはいけません。
収入の基礎となる資産運用では勝負しない
失敗例7:資産運用がうまくいかず生活のための不労所得が減って立ち行かなくなった
セミリタイアすると、これまで定期的に入っていた給与収入がなくなります。そのため、生活を維持するためには何らかの形で不労所得を得る必要があります。セミリタイアした人たちは多くの場合、この不労所得を資産運用によって得ています。
その資産運用で見込まれる収益がセミリタイア生活を支える基礎となるものであり、その収益の範囲内で暮らしの支出を計画することで、セミリタイアの生活を継続することが可能になります。実際にセミリタイアする以前から、試験的にその資産運用を始めることで、見込み利益のリアルな数字を知ることができます。
しかし、いざセミリタイア生活を始めると、よほど潤沢な資金がある場合は別として、少ない不労所得の内でやり繰りするために、生活費の節約や倹約的な暮らしをしなければなりません。そこで、誰もが考えるのが、少しでも利回りのいい投資案件への乗り換えです。または、FXや株のデイトレードなどに手を出す人もいますが、慣れないモノに手を出すと、多くの場合は失敗して大きな損失を出してしまいます。
こうなると、増やすはずだった資産が逆に目減りして、さらに月々得られる不労所得が少なくなり、セミリタイア生活が苦しくなってしまいます。なので、セミリタイア生活での収入の基礎となる資産運用では決して大きな勝負はしないことです。
まとめ:セミリタイア生活を失敗しないためには計画性をもった行動が肝心
セミリタイアとは基本的には労働収入を得ることなく、何らかの不労所得で生計を立てていくことです。限られた所得で暮らしていくためには、計画性と自制心が必要です。思いつきで行動すると、収入と支出のバランスが崩れて、生活が立ち行かなくなることがあるからです。
自分の毎月の支出額を不労所得として生みだしてくれる資産が用意できれば、セミリタイアに適齢期はありません。もし、30代で必要な資産と収入を生みだす仕組みができていれば、セミリタイアすることは可能です(僕がそうでした。それから25年以上セミリタイア生活を続けています)。
また、もし生活の質を向上させたい、もうちょっと贅沢したい、など支出を増やすのなら、ストレスを溜めない程度に労働して副収入を得ればよいのです。そのために、普段からいつでも働ける副業を用意しておくようにします。「見込まれる不労所得の予算内で穏やかに暮らし、必要なら好きな時に働いて、臨時収入を得る」、これがセミリタイアでの賢い暮らし方です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。