オンライン英会話を始めたいけど、きれいな発音や英語らしい言い回しを覚えるなら、ネイティブの講師のレッスンを受けた方がいいのかな?
英語に憧れる人がよくもつネイティブ信奉。確かに、人前でネイティブのように英会話ができたらカッコイイですよね。周りの人からも「うぁすごい!」と一目置かれるかもしれません。でも、オンライン英会話で英語を学ぶ目的は、ほんとうにネイティブの英語に近づくことなのでしょうか?
本当にネイティブ英語にこだわる必要はあるのか?
これまでに世界のさまざまな国の英語に接してきた現役翻訳者のシロがその疑問にお答えします。
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これからオンライン英会話を始めようと考えている人。今なおネイティブにこだわる人。目からうろこかも知れませんョ。
オンライン英会話を習うのにネイティブ講師にこだわる必要性はあるか?
学校教育で長いことカタカナ英語を学んできた私たち日本人。テレビでネイティブのように英語を話す日本人のインタビューなどを目にすると、「かっこいいなぁ」と思ってしまいますよね。英会話であんな風に話せたらと、ネイティブにこだわるのも無理はありません。
しかし、そういった日本人はほとんどの場合、幼少時代を英語圏で過ごしてきた帰国子女、バイリンガルの人たちです。カタカナ英語から彼らのような流ちょうな英語に完全に変身させるのは、至難の業と言ってよいでしょう。
実際のところ、現実生活でネイティブのような英語を話さなければならないシチュエーションなどあるのでしょうか?ハリウッド映画で演技する日本人俳優たちは、みっちり発音の訓練はするはずですが、求められるのは、役柄から言っても日本人としての味のある英語のはずです。
結論から言えば、日本人がネイティブの英語にこだわる必要はまったくありません。
外国人タレントが何年も日本に住んでいるにもかかわらず、その国の訛りをもった日本語になっているのを見れば理解できるはずです。たとえ、流ちょうに日本語を話す外国人がいたとしても、私たち日本人から見れば、「流ちょうに日本語を話せる外国人」と思うわけです。それと同じで、日本人がいくらネイティブに近い英語を話したとしても、ネイティブからみれば、「まあまあ英語ができる日本人」ということになるでしょう。私たちには日本人というアイデンティティがあるのですから、これは仕方のないことです。
だからといって、カタカナ英語のままでよいということではありません。なぜなら、カタカナ英語では相手に通じず、会話が成立しないからです。発音は相手が聞き取る努力をしなくてもすむ程度には上達させる必要があります。
では、なぜネイティブの英語にこだわる必要がないのか、その理由とネイティブ講師のレッスンを受けるメリットやデメリットについても詳しく見ていきましょう。
ネイティブ講師のオンライン英会話レッスンを受けるメリット
もちろんネイティブ講師のレッスンを受けることにもさまざまなメリットがあります。
とくに英会話の中級者や上級者にとっては、ネイティブの講師たちは英語の知識の宝庫として頼もしい存在でしょう。日常会話の手段として幼少の頃から英語を話している彼らがノンネイティブには持ちえない知識を持っていることは確かです。
①今使われている最新の英語を学べる(たぶん)
日常会話として英語を使っているネイティブ講師のレッスンを受けることでの最大のメリットは、今まさに使われている生の英語を学べることでしょう。言語は文化のひとつとしてどの時代でも常に変化してゆくものです。つねに新しい言葉や言い回しが生まれ、古いものは使われなくなるものもあります。
以前、学術論文の編集をしているアメリカ人の友達が嘆いていたことがあります。最近は、人件費が安いこともありインドやパキスタンなどの優秀な人材が論文編集に携わっているそうですが、彼らの英語には古風なところがところどころ残っていて、最新の英語が使われていないことがあり、世界で読まれる学術論文にはふさわしくないことがあるということです。
日常英語ではあまり気にすることではありませんが、やはり今使われている英語を学べるのはネイティブ講師のレッスンを受けることのメリットでしょう。ただし、最新の英語と言っても、その講師の住んでいるローカルな場所で話されている英語の場合もありますので注意が必要です。
②より実践的な英語を学べる
おきまりのフレーズから抜け出したい人には、ネイティブ講師なら、より実践的な英語を教わることができるでしょう。
たとえば、出会いのあいさつの返答として、ほとんどの日本人は「I'm fine, thank you」と答えてしまいます。教科書英語でそう教えられたからですね。でもいつも同じ気分の人などいないわけで、そのときの気分で使い分ければ表現の幅も広がります。
たとえば:
「Awesome, Great, Pretty good, I'm cool, Can't complain, I'm alright, Not too bad, Not the best, I've been better, I'm sound」など、実際にはネイティブたちはそのときどきの気分でさまざまに使い分けています。
もちろん、ネイティブといってもその国々で表現が変わったり、年齢層によって使うボキャブラリーも変わってきますので、そのことは頭に入れておいた方がよいでしょう。
間違ってもいい歳したおっさんが「ちょー最高!」なんて言わないように気をつけましょう。
③英語圏の文化に詳しい
言葉は文化ですから、英語圏で育ってきたネイティブの人たちはその国の文化が浸透した英語を話しています。英語だけではなく、そういった国の文化にも関心のある人なら、文化を背景とした英語をネイティブの講師から学ぶことができるでしょう。
ただし、なかには自分の国の文化にあまり詳しくないネイティブもいますので、全員が全員というわけではありません。これは日本人でも同じことが言えますが、その国に生まれたからと言って、みんながみんなその国の歴史や文化のスペシャリストではないということです。
ネイティブ講師のオンライン英会話レッスンを受けるデメリット
つぎは、オンライン英会話でネイティブの講師のレッスンを受けることで起こりうるデメリットについて見てみましょう。とくに英会話の初心者の人たちに当てはまることが多いので、初心者の方は参考にしてください。
①ネイティブ講師はレッスン料金が高い
ネイティブの人たちが暮らすインナーサークル国と呼ばれる国々(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)は給与水準も高く、当然ながらそういった国々の人のサービスを受けるには、高いレッスン料を払うことになります。
とはいっても、このレッスン料はその国の給与水準から算出されるものであって、必ずしも講師のサービスの質を反映したものとは言えません。ネイティブということで重宝されますが、英語を教える講師として特別に訓練された人ではないこともままあります。
②会話のスピードが速くて聞き取れない
一般的にネイティブの英語の会話スピードはノンネイティブに比べて速いことは、海外映画を見ても分かるとおりです。日常会話で情報を多く伝えるためには当然そうなるですが、じつはスピードが速くなるだけではありません。ネイティブは会話のスピードを上げるために無意識的に言葉をつなげたり、無声にしたりしていますので、さらに聞き取りにくくなります。
「What do you do?」の「ワット・ドゥー・ユー・ドゥー」が「ワッジュドゥ」になったりですね。
初心者がこういったネイティブの英語を聞けば、まったく聞き取ることができずに挫折してしまう可能性も高くなってしまいます。
③英会話初心者にはハードルが高い
何と言っても、英会話の初心者がネイティブ講師のレッスンを受けるのはハードルが高いものです。会話のスピードや聞き取りにくい発音もさることながら、ほとんどのネイティブ講師は日本語が通じないので、分からないことがあっても英語で質問しなければなりません。これは初心者にとってはかなりの難問です。
ネイティブ特有の言い回しなど、学校英語で習ったことのない英語に接すると、なおさら英語が難しく感じてしまいます。
初心者ということで、配慮してくれる講師であれば助かりますが、必ずしもそういった講師に出会えるとはかりぎません。
④日本人はネイティブだとなぜか緊張してしまう
これも外国人慣れしていない初心者にいえることですが、日本人はなぜかアングロサクソン系のネイティブ講師となると緊張してしまうようです。欧米系に多いあの強い眼差しが苦手という人もいます。
ほどほどの緊張感は学習が身につくのにプラスに働きますが、あまりにも緊張してしまうと、頭も口も凍結状態となってレッスンにならなくなってしまいます。
逆に、日本人はアジア系、東洋系の講師だと親しみも沸くのか、ネイティブほどには緊張せずにレッスンを受けやすいと聞きます。南方系の人たちは笑顔を絶やさずに温かみが感じられるというのも理由のひとつかもしれません。
⑤ネイティブ講師は英語学習者の気持ちがくめない
ステレオタイプに物事をとらえるのは良くないことですが、往々にしてネイティブの講師は、日本の英語学習者の気持ちがくめないことがよくあるようです。
彼らは第二言語として、学校ではスペイン語やフランス語、ドイツ語などを自由選択で学びますが、そのなかでも最も人気の低いのが日本語だそうです。これは日本が人気がないということではなく、彼らにとってあまりにも日本語がかけ離れた言語で勉強が難しいからです。学校の必須科目なら、よほど日本ファンでない限り、楽に点を取れる言語を選択するのは理解できますよね。
日本語以外のこれらの言語は言語系列からいっても似通っていて、英語話者には覚えやすいのです。僕も英語の他にスペイン語を話せるようになってから、話すことはできませんが、ポルトガル語やイタリア語を聞けば大体の意味は分かるようになりました。つまりそれぐらいの違いしかないのです。
ということで、ネイティブの講師たちにありがちなのが、母語とは全く異なる英語という言語を学んでいる日本人の気持ちがくめずに、スタスタと自分のペースでレッスンを進めていってしまうことです。そうなったら、初心者の生徒にとっては最悪ですね。
以上5つがネイティブ講師のレッスンで起こりうるデメリットでした。
ネイティブという標準英語があるわけではない
ところでネイティブイングリッシュといっても、そういった標準英語があるわけではありません。この場合のネイティブとは英語を母語として話す人たちのことです。国によってボキャブラリーやアクセント、文法まで異なるところがありますから、いろいろな英語を話すネイティブたちがいるということです。アメリカ人の講師から学べばアメリカ英語を覚えることになり、イギリス人から学べばイギリス英語を覚えることになります。
たとえば、アメリカでスマホは「cell phone」ですが、イギリスやその他の国では「mobile」です。アメリカでは「Do you have...?」ですが、イギリスでは「Have you got....?」となります。さらには、アメリカのなかでさえ、地方によっても人種によってもさまざまな英語があり、アメリカ人だからといって、統一された英語があるわけではありません。イギリスでも同様です。
僕はまだ初心者の頃にイギリスのオックスフォード近郊で英語を学びました。数カ月の後、やっと会話が聞き取れるようになり、自分の英語にも自信もついてきたところで、たった数十キロ北にあるバーミンガムへ行ったら、話されている英語は歌を歌っているような英語で、まったく聞き取ることができずに落ち込んだ覚えがあります。さらに北のリバプールやスコットランドでは、それ以上に英語とは思えないような英語が話されています。
ということで、ネイティブ英語を覚えるといっても、つまるところはネイティブ英語のうちのひとつを覚えるということでしかありませんし、またそういったアクセントを習得するのは日本人にとっては至難の業ですし、習得したところであまり意味を成しません。東北弁や関西弁を話す外国人は面白いですが、だからといってそれが特別に役立つわけではないのと同じです。
使える英語=ネイティブ英語ではない
たとえば、仮にあなたがネイティブの英語を完璧に覚えたとしても、それが世界で通用するというわけではありません。ネイティブ特有のイキな言い回しは、その地方や国では通用するでしょうが、ほかのネイティブの国では理解してもらえないかもしれません。ましてや、非ネイティブの国の人と英語で会話するときに、そういった言い回しを使っても理解してもらえないでしょう。
言語はコミュニケーションのためのツールですから、いくらカッコいい表現をしっていても、相手が理解できなければ意味をなさないのです。それよりも、日本人の私たちが目指すべき英語は、世界のどの国の英語話者と話しても理解してもらえる、もっとも分かりやすい英語を習得することではないでしょうか。
ということで、「使える英語」が「ネイティブ英語」とは限らないということです。
世界の英語人口の80%はネイティブではない
世界で英語を話せる人口は17億人と言われ、そのうちネイティブの話者は3.4億人です。つまり、英語を話す人たちの80%、5人に4人はネイティブではないのです。もちろん、この非ネイティブのなかには、私たち日本人も含まれています。この80%の人たちは、日本人のように自分の英語に気後れすることもなく、自分たちの英語に誇りをもって自由に英語を話しています。
例えば、僕はこれまでにこんな国の人たちの英語に接してきました。
イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、フィリピン、フィジー、ロシア、ポーランド、スイス、スウェーデン、オランダ、ギリシャ、イタリア、フランス、ドイツ、ヒスパニック、ブラジル、中国、韓国、タイ、マレーシア、インドネシアなど
ネイティブのアクセントはもちろんのこと、それぞれの国にはその母語に影響を受けた訛りのある英語があり、なかにはかなり聞き取りにくい英語もありましたが、僕の接してきたノンネイティブの英語話者たちのほとんどは非常に聞き取りやすい英語を話していました。
ネイティブとの英会話は上級者になってからでも遅くない
もしあなたがどうしてもネイティブの英語にこだわるのであれば、初級者のうちはしっかりと基礎を身につけて、中級者・上級者になってからネイティブのレッスンを受けるのも一つの方法です。
ネイティブにこだわるなら、好きな国のネイティブのレッスンを5ドルという低価格で受けられるサービスがあります。ただし、外国のサービスですので利用するにも英語力が必要だが、中級者以上なら問題ないでしょう。そういったサービスを英語で利用するのも実践的な覚え方ですし、英語を覚えることで世界が広がる醍醐味でもあります。入会金も月謝もなく、レッスンごとに支払うシステムですので、気が向いたときにレッスンを受けることができます。
こちらがそのサービスですので、興味があったらのぞいてみてください。
そうはいっても、ネイティブとたまに数十分レッスンしたからといって、あなたの発音が急にネイティブのようになるわけではありません。Youtubeなどではネイティブの発音専門の先生が教えているチャンネルもあります。日ごろから、そういったビデオを見ながら自宅で練習するのも効果的な方法です。そして、自分の上達を確認するために、週に一度でも紹介したファイバーでネイティブ講師とレッスンすれば、より効果的であり、経済的でもあります。
おすすめのYoutubeネイティブ発音専門チャンネル
イギリス英語なら:RTJ English (Modern British Pronunciation)
アメリカ英語なら:Rachel's English (Master American English Conversation)
このほかにもいろいろとありますので、中級者・上級者の方は自分で探してみてください。
いろんな国の英語を聞き慣れたほうが有益
ネイティブな英語を追求するのも、もちろん結構ですが、自分の英会話レベルが上がったことを実感できるようになったら、さまざまな国の英語にも触れて、聞きなれておくことをおすすめします。
先にも触れた通り、世界の英語話者の80%はノンネイティブの人たちです。そういった人たちの英語に慣れておくことで、いつかあるかも知れない出逢いやビジネスチャンスが大いに広がることでしょう。
まとめ:今後も増大するノンネイティブの英語人口
語学の学習で最重要な点は学習を続けることです。継続なくして英語の上達はありえません。オンライン英会話で3カ月以上レッスンを続ける人は20%に満たないと言われています。ネイティブ英語にこだわることで、この「継続」という最大ポイントがおろそかになっては、元も子もありません。とくに初心者のうちは初心者に合ったオンライン英会話を選ぶようにしてください。
ところで、ネイティブ英語の諸国は、経済成長を遂げた他の先進国と同じく人口増加のペースは緩やかとなっています。一方で非ネイティブの国々は経済もいまだ発展中で人口は増加傾向にあります。この先もこの傾向は続くものと考えられますので、ネイティブの人口は比率としてはますますマイノリティとなってゆくことでしょう。
あなたもぜひ英会話を身につけて、世界17億人の英語人口の仲間入りを果たしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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