「巷には英会話を学ぶための勉強法やサービスが数多くあるけど、どれがいいやらさっぱり分からない。いっそのこと独学でできる英会話の勉強法ってないのかな?」
なんてこと考えている方。あります。僕自身で実証済みの独学方法があります。
この記事では、どうやって独学1年で僕が英会話を上達させたのか、その勉強法について詳しく解説します。
まずは、この記事の信ぴょう性を判断していただくために僕の略歴をご紹介します。
・イギリスへ語学留学経験あり
・海外在住8カ国で在住歴28年
・海外投資歴22年
・全世界にクライアントや友達をもつ英語・スペイン語の翻訳者でもある
この記事は3分で読めます。
どうしても独学にこだわる方はどうぞ読んでみてください。
こうやって僕は独学1年で英会話を上達させました。その勉強法とは?
いざ英会話を学ぼうとすると、その勉強方法もさまざま紹介されています。町の本屋に行けば、英語の学習方法の本がズラッと取り揃えられていて、どれがいいやら本当やら、悩んでしまいますね。
僕もいろいろと試してみたり、失敗してみたり、かなりの遠回りをしてしまった一人です。ここでは、そのいろいろと試した中でも最も効果的だった英会話の独学方法をご紹介したいと思います。
じつは僕はこの方法を独学の勉強法とは捉えてはいませんでした。まあ、趣味の一環としてひとりで勝手に続けていたことなんです。ところが1年ほど経ったころ、英語のニュースやビデオが字幕なしでも理解できていることに、ふと気がつきました。そして、その後はネイティブの友達たちとの英会話も飛躍的に上達していったのです。
これは後になって知ったのですが、僕が知らずにやっていた勉強法は、下のリンクにあるニュージーランドの心理学者であり言語学者のクリス・ロンズデール氏が提唱している語学学習の方法論に非常に似ていたことが分かりました。
≫ どんな外国語でも半年でマスターしてしまう方法 | クリス・ロンズデール(YouTube)
つまり、知らず知らずのうちに実践していたことが方法論としては適っていたということです。実際に、クリス氏の方法は半年でマスターというだけあって、かなり徹底したもので、仕事や子育てなどふつうに生活のある人には難しいようにおもえますが、僕が実践した方法は生活のなかで一定の時間を割いて行えるものです。
では、その独学の英会話勉強方法について解説していきます。
独学で英会話を勉強するときに最も優先するべきもの
みなさんは英会話を学ぶときに、まず身につけなければならない能力とは何だと思いますか?文法でしょうか?リーディング?フレーズ?単語暗記?スピーキング?発音?
何よりも優先すべき能力はリスニング力です。会話は相手の言っていることが理解できて、はじめて成立します。もちろんスピーキングも大切ですが、リスニング力があってのスピーキング力です。逆に、スピーキング力があっても、リスニングができなければ会話はできません。とくに、ただフレーズを丸暗記するだけの勉強法をやった人たちですね。
文法も、リーディングも、単語丸暗記も、教科書英語を長いこと学んできた私たちには英会話には意味がないことをもう知っています。いや、意味がないのではなく優先順位がリスニングよりずっとあとなのです。発音とフレーズはリスニングのつぎに高い優先順位をもっています。僕の独断では優先順位はこんな感じです。
- リスニング
- フレーズ
- 発音
- スピーキング
- リーディング
- ライティング
- 文法
何かの順番に似ていませんか?そうです。私たちが日本語を覚えた順番と同じのはずです。しかし、実際にはこれらの学習は別々に行うものではありません。ひとつの作業の流れの中ですべてを並行して行うようにします。
①リスニング力があれば英会話は成立する
たとえば、こんな外国人がいたらどうでしょう?
- 外国人「アナタイウココミナイエキドコワカルナイ」
- あなた「えっ?」
- 外国人「エキドコワカルナイ」
- あなた「ええええっ?」
- 外国人「エキドコ」
- あなた「ああ、駅ですね。ここ真っ直ぐ行って、四つ目の角を左に曲がって、突き当りを右ですよ」
- 外国人「ワカルナイエキドコ」
- あなた「だから~、ここを真っ直ぐに行きまして...」
- 外国人「ワカルナイワカルナイ」
- あなた「...」
何とか貧弱なスピーキングで言いたいことが相手に通じても、相手の返答が分からなければ、結局は会話は成立しません。
では、こんどはこんな外国人なら?
- あなた「いやいや、お疲れのところすみません。ところで、失礼ですがどちらの方ですか」
- 外国人「スリランカ」
- あなた「え~っ、それはそれは遠いところからいらしたんですねぇ。暑いところですよね」
- 外国人「アツイネ」
- あなた「そうですよね。じゃあ、日本の夏もヘッチャラじゃないですか」
- 外国人「ダイジョウブ」
すでに、会話になっていますね。相手の言っていることを大筋理解できれば、簡単な単語でも会話は成立します。あとはもっと肉付けして会話らしくしていくだけです。
②リスニング力が身についたらスピーキングは真似から入る
リスニングに実力がついてきたら、つぎはネイティブの会話の中から役立つフレーズをピックアップしていき、それを発音から真似して覚えていきます。しかし、これを始める前までには、できるだけ多くの量の英語を聞いておく必要があります。とにかく、スピーキングは失敗を恐れずに赤ん坊が言葉を覚えるように、真似することから入ります。
自分の一番関心のある題材を使った英会話の独学勉強法
リスニング力がもっとも大切な能力だということが分かったところで、つぎは具体的な独学勉強法について解説していきます。
先ほどの、クリス氏の提言では、言語を覚えるために重要な4つの要素が紹介されています。
・注意力
・意味
・関連性
・記憶
人間が言語を覚えるには、この4つの要素が大きく関わっているということです。また、逆に言えば、これらの要素がないときには言語は上達しないということでもあります。
人は自分に関心のあることに、もっとも注意力をそそいで、その意味を連想し、他との関連性を見出し、それが成功したときに、コトバが記憶されるというものです。
僕がまったく英語が話せない頃に、イギリスに放り出されたとき、まず覚えたフレーズは「Where is the bathroom?」、そして「What time is dinner?」でした。人間の生理現象として一番必要な情報を得るために、まずこれだけ覚えたのを記憶しています。
僕の息子は幼少期にスペイン語圏で過ごしたのですが、はじめて息子の口からでたコトバは「ママ」でも「パパ」でもなくて、「アグア」でした。スペイン語でアグアは水のことです。水が貴重な国だったのですが、まさか「みずくれ~」が最初のコトバになるとは思いませんでした。
このように、人間は自分の生存に関わることや実益に直結すること、とくに関心のあることには、最大限の注意を払うのです。それがどんな言語であってもです。
教科書英語はここが間違っていたのですね。誰も架空のレターに興味なんか持ちませんし、人のインタビューの受け答えに関心なんかありません。そういった自分の生存に直結しないものは、なかなか記憶として残らないのです。でも、もしあなたに外国人の恋人ができて、その恋人から長ーいメールが届いたら、どうしますか?辞書を引きながらでも必死で内容を隅々まで理解しようとするはずです。そして、そうして覚えた英語は完全に記憶として定着するでしょう。クリス氏は「自分に必要な道具なら、すぐに使い方を覚える」と表現しています。
そこで、まず第一に重要なコトが「自分がもっとも関心のあるテーマを扱っている英語のビデオ」を題材として使うことです。探してください。この学習法はお決まりの教材は使いません。自分で題材を探すのです。ただし、洋画や海外ドラマのような題材は最初は避けてください。効果音や雑音が多かったり、スラングが多用されているのでおすすめしません。たとえば、任侠映画の「ウリャャャ、ナニさらすんじゃ~ぁ」では正しい日本語は学べませんし、辞書で調べても分かりませんね。できれば、プレゼンや何かを説明しているビデオがよいでしょう。僕は自分で興味を持っている音楽関連、スピリチュアル、絵画の解説ビデオ、ガーデニングなどから入りました。
①何度も聴き返しながら題材の全体の内容をつかみ取る【注意力】
題材ビデオを選んだら、全体の内容をつかみ取るべく、注意力と集中力を最大限に使って、そのビデオを繰り返し見ます。この段階ではまだ辞書を引いたりはしません。ビデオだけを見て、とにかく意味をつかみ取ろうと努力する段階です。クリス氏は「メッセージを先に理解できれば、無意識に言語は身につく(文法より理解力)」と言っています。
これには、英語をただの音から言語へと脳の認識を変えさせる意味もあります。クリス氏の解説にもありますが、私たちの脳にはフィルター機能があり、必要な音だけを認識するようにできているのです。これは言語に限ったことではありません。エアコンや冷蔵庫の音やコウロギの鳴き声が意識しないときは聞こえないのは、脳がフィルターカットしているからです。そればかりではなく、脳には足りない情報を補完する機能もあります。
- 英語が聞き取れない→まだ脳が英語を言語ではなく、ただの音として認識している
- エアコンの音が聞こえない→脳が不要な情報と判断して音をカットしている
- 雑踏の中で相手の話が聞こえる→脳が雑音をカットし、聞こえない部分は予測で音を補完している
ということで、全神経を集中させてビデオを見て、理解しようと努力することで、脳は英語をただの音ではなく、生存のために必要な言語として認識してくれるようになります。
ここが注意力を使う段階です。
②ディクテーションして題材の詳しい内容を理解する【意味】
ディクテーションとは書き取りの意味ですが、ここでは文字起こしのことです。ビデオのストップをかけながら、話されているコトバを文字に起こしていきます。紙に書いてもいいですし、テキストでタイプしてもかまいません。これは根気のいる作業で時間もかかりますが、頑張ってください。分からないところは飛ばしてもかまいません。文字に起こすとさらに理解が深まります。
ディクテーションが終わったら、知らない単語は辞書で調べます。辞書はできれば英英辞典を使ってください。英語で英語を理解する力、英語で英語の意味を質問する力がつきます。
ここが意味を理解する段階です。
③正しい内容が理解できたら題材を何度も聴き返す【関連性】
全体の内容を詳しく理解できたその上で、さらにその題材のビデオを何度も聴き返します。好きな音楽を何度も聴くのと同じように。はじめてビデオ見たときとは段違いで英語が理解できていることが実感できるはずです。コトバとコトバの関連性、コトバとコトとの関連性が次第に分かってきます。
ここが関連性を理解する段階です。
④題材を聴きながらシャドーイングで発声を真似る練習をする【記憶】
つぎは筋トレの段階です。シャドーイングとは、ビデオの話者の発語に合わせて、自分も一緒に発声することです。はじめは上手くいきませんが、何度も繰り返すうちにうまくできるようになってきます。ちょうど好きな歌をかけて、一緒に歌いながら歌の練習をするのとおなじ要領です。このトレーニングで単語の発音と、単語がつながったとき、どのように発音が変化するかなどを感覚で覚えていきます。
ここが記憶の段階です。
⑤独学の題材ジャンルをさらに広げてゆく
カラオケで90点が取れるほどに、ビデオのシャドーイングができるようになったら、そのビデオは終わりです。またつぎの題材ビデオを探して、おなじことを繰り返し行います。これは引き続き、同じ話者、同じジャンルのビデオで行ってください。そうすることで、二本目、三本目のビデオはもっと早く理解できるようになります。十分な題材をこなしたら、題材のジャンルを広げていきます。でも、必ず自分の関心のあるものだけを選ぶようにしてください。
⑥ネイティブの友達と会話を実践し、とにかく真似る
ここまできたらネイティブの人たちとの英会話を実践するだけです。残念ながら、独学はここまでが限界ですね。会話はコミュニケーションのツールですから、相手が必要です。できるだけ多くの英会話の機会をつくって、独学で勉強したことを試してみてください。トライアルアンドエラーで軌道修正しながら、会話の実力を伸ばしていってください。
英語話者の相手が見つからない人はオンライン英会話のサービスという手もありますので、こちらの記事も参考にどうぞ。
≫ 現役翻訳者の僕がおすすめのオンライン英会話5選|徹底比較
英会話を実践して反射とコミュ力を鍛える
独学で英会話の基礎ができたら、あとはできるだけ多くの場数を踏んで、相手の発言に対してすぐに返答するための反射能力と会話を組み立てていくコミュニケーション能力を鍛えることが大切です。ただし完璧は目指さないことです。完璧を目指すとそこで足踏みしてしまい、先に進めなくなってしまいます。
もうこの段階では、独学はできません。英語話者の出入りする場所で相手を探してみたり、友達を作ったり、オンライン英会話のサービスや海外のチャットサービスなどを使いながら、実力を磨いてみてください。
まとめ:独学での英会話上達の早道は実践との平行学習
このように、英会話を独学で学ぶことは可能です。ただし、これは孤独な戦いであり、最大の敵はモチベーションの低下だといってよいでしょう。英語の不要な日本に暮らしながら、他の誘惑に負けずに、コツコツと独学で学習するには、よほど差し迫った強い動機が必要です。または、モチベーションの維持に協力してもらえるサービスを利用するのもありです。
たとえば、独学を続けながら、英会話の学習サービスのなかでも価格の低いオンライン英会話のサービスを利用して並行学習するという方法もあります。そうすることで独学の実践の場とすることができますし、自分がどれほど上達しているかを実感するための手段としても利用でき、どちらか一方だけで勉強するよりも、いちだんと上達のスピードがあがるはずです。
コトバを覚えるのに才能は必要ではありません。唯一必要なのは学習の「継続」です。
あっ、それからクリス氏の言っていた大切な一言を忘れていました。言語の学習をもっとも効果的に伸ばすのは、「楽しむこと、喜びを感じること」だそうです。皆さんも楽しみながら英会話を学んでください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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