日本から海外へ行くと治安の悪さに驚くことがあります。
「こんど海外旅行に行くけど、海外では犯罪に遭わないためには、どうすればいいのかな?」
「新興国に海外移住する予定だけど、治安があまり良くないという話。むこうでは日頃どんな防犯対策をとったらいいんだろう」
こんな心配がありますか?
海外旅行や海外移住での効果的な防犯対策はないのでしょうか?
幸いにして、僕は海外移住28年間一回も犯罪被害に遭ったことがありません。
周りの現地の知り合いが犯罪に遭うなかで、目立ちやすい日本人の僕がこれまで犯罪に遭わなかったのは単なる偶然ではないでしょう。それなりの対策をいつも取ってきたからだと感じています。
では、僕がこれまでやってきた海外での防犯対策をご紹介します。
この記事は4分で読めます。きっと防犯に役立つことがあるはずですョ。
【海外での防犯】犯罪に遭わないための安全対策
外務省の海外邦人援護統計(2018年)によると、海外で日本人が犯罪被害に遭ったのは約4800人となっています。当然ですが、この数字は日本領事館へ報告されたものだけですので、報告されていないものを含めると、どれほどの件数になるのかは全く分かりません。
世界でも有数の治安のよい国で育った日本人は、海外での防犯意識が低いと言われています。海外旅行では、誰でもはじめての土地で興奮気味になって周りが見えなくなったり、開放感から普段しないような行動を取ってしまうこともあります。
しかし、海外で犯罪被害に遭うと、自分は無事であったとしても、保険のためにも警察へ届け出なければなりませんし、場合によっては領事館のお世話になることになります。いずれにしても、せっかくの旅行が台無しになります。
そんなことにならないためにも、自分でできる防犯対策はしっかりしておきたいものです。
これから、ご紹介するのは、実際に僕が日頃とっている防犯対策の一部です。犯罪の傾向や手口は国によっても地域によっても異なりますが、基本的に個人でできることはあまり変わらないはずです。
海外での空港・駅・バスターミナルなど移動中にすべき防犯対策
海外旅行では、移動中がとくに注意が散漫になるときですので、気をつけるべきです。
出発時間が気になったり、乗り場を探すのに迷ったり、お土産の買い物など、頭の中は半分パニック状態にある人も多いでしょう。でも、そんなときが最もスリや詐欺に遭いやすいときでもあります。
空港での防犯対策
空港は人が混雑していて、手続きやらなにやら旅行者がやるべきことも多いところです。人間はあまり多くのことに同時に注意を払うことができないので、こういう時には特に身の回りに注意してください。
①手荷物、スーツケースは必ず自分で荷造りする
海外旅行での、基本中のキホンです。税関でも「あなたが自分で荷造りしましたか?」とよく聞かれることがあるはずです。人に任せて薬物でも入れられてたとしても、言い訳はききません。
②みやげ物、託送品は誰からも絶対に受け取らない
最も恐ろしくて、最もよくある手口です。「日本にいる友達に届けてほしい。小さいものだからお願い」なんて依頼はすべて断りましょう。知らぬ間に運び屋にされてしまうかもしれません。
親切心からこれをやってしまうと、人生終わりますよ。
③荷物運びの手伝いはしない
税関前で、女性や年寄りが「ちょっと荷物をもつのを手伝ってくれる?」と言われることがあります。税関通過だけをあなたに代わりにやらせる手口かもしれません。もしかしたら、本当に困っているのかも知れませんが、確認できない以上、こういったお願いもすべて断ります。必要なら空港の職員に代わりに頼んであげましょう。ひとつ間違えるとこれも人生終わらせます。海外では薬物犯罪が終身刑・死刑の国もあります。
④待機中は荷物から目を離さない
搭乗の待機中でも、手荷物から目を離さないように。僕は座っている時でも、ショルダーバックやリュックのストラップを片足に回しておきます。
バスターミナル・バス内での防犯対策
バスターミナルではセキュリティも低いだけ空港以上に犯罪が多く起こります。
大抵のターミナルは旅行客でなくても誰でも入れるので、スリのグループなども潜んでいます。
また、バスも信頼のおけるバス会社を利用して、セキュリティチェックがしっかりしていて、途中下車のできない直行便に乗車するようにしましょう。安い運賃のバスは人の乗り降りが多く、犯罪も起きやすいです。
①荷物の積み込みを確認する
バス会社にもよりますが、できれば預けた荷物がちゃんとバスに積み込まれたかどうか確認しましょう。
②口に入れるものは受け取らない
途中下車のできる夜行バスでよくある手口です。隣に座った人にお菓子や飲み物をすすめられて、口に入れたら意識がなくなり、起きたら手荷物も貴重品もなくなっていたというケースです。お菓子をくれるのが小さな子供の場合もありますので、とくに一人旅では注意してください。
③窓際・最後尾の席はできるだけ避ける
バスの窓際や最後尾は車内の死角になりやすいので、犯罪がおこるケースが多いとされています。また、万が一事故などでバスが横転した場合には通路側の席のほうが生存率が高まります。バスの座席は中央付近の通路側を選ぶのが得策です。
④貴重品を手荷物に入れない
貴重品は車内持ち込みの手荷物に入れずに、身につけておきます。バッグや手荷物は頭上の棚ではなくて、自分の脚の下に置く方が安全です。
海外旅行でのホテル・海外移住での住居ですべき防犯対策
滞在中のホテルでのトラブルも避けたいもの。防犯のためにも、できればそれなりのランクのホテルを選びましょう。
海外移住であれば、当然ながら治安も考慮した居住地を選ぶべきですが、高級住宅地でも犯罪はおきますから、防犯対策はしっかりとしておくべきです。
ホテルでの防犯対策
ホテルはできれば三ツ星以上。そうでなければ、かえってAirbnbなどの方が、人の出入りも少ないので安全かもしれません。
①ドアは必ずロックをかける
海外では基本中のキホンです。室内にいるときでも必ずドアにはロックをかけましょう。
②貴重品は部屋に残さない
外出するときには、貴重品は部屋に残しません。信頼のおけるホテルなら、セーフティボックスを利用します。
③外出時にはスーツケースはロックと鍵付きベルトをかける
持ち歩けないその他のなくなっては困るものはスーツケースに入れてロックし、鍵付きベルトがあれば締めておきます。
④基本的にホテルの部屋はパブリックスペースと思え
ホテルの客室は清掃で人が入ったり、マスターキーがあれば誰でも入ることができますので、パブリックスペースという意識でいたほうが無難です。
海外移住先の住居での防犯対策
自分の持ち家であれば、防犯カメラやセキュリティ会社と契約するなど、さまざまな防犯の手が打てますが、賃貸やシェアハウスなどの場合はなかなかそれも難しいでしょう。できる範囲で防犯対策をとりましょう。
①表札はかけない
国にもよりますが、防犯上からも道行く誰にでも名前が知れてしまう表札はかけません。日本のように家族全員の名前を表札に書き出している家のある国は珍しいのではないでしょうか。
②窓にはレースのカーテンをかける
外から家の中が見えてしまうような家なら、窓にレースのカーテンをつけます。
③家のドアは二重ロックとかんぬきをつける
統計上では、家のドアにカギをひとつつけた家と、ふたつつけた家では空き巣の確率がぜんぜん違うそうです。泥棒も侵入に手間のかかる家はリスクが高いと考えて、他を探すのでしょう。
④空き巣の動線をイメージして安全対策する
自分が空き巣になったつもりで、どうやったら家に侵入できるか思案します。そのうえで弱点が見つかれば、対策を施します。
以前借りていた賃貸マンションで鍵を忘れて外出してしまい、困ったことがありました。なんとか二階の部屋に入れないか考えてみたところ、泥棒除けの鉄の柵が、かえって梯子のように使えて、簡単に二階へよじ登ることができました。二階の窓も針金一本で開けることができて、無事に家に入って鍵を取ることができたのですが、それでセキュリティのもろさがあからさまになりました。とうぜん、そのあと大家にはセキュリティ強化をお願いしたのは言うまでもありません。
⑤夜間照明をケチらない
電気代などケチらないで、家の周囲の夜間照明はつけておきましょう。
泥棒だって、明るい所での仕事はやりにくいはずです。
⑥訪問者には先に名前と誰に会いに来たのか尋ねる
知らない訪問者があれば、ドア越しに、名前と誰を訪ねてきたのか聞きます。
家の誰かの知り合いか、来る予定のある人でなければ、ドアは開けません。
⑦電話がかかってきても、先に名前は言わない
日本では家の電話を取ると、「はい、XXです」とすぐに名前(苗字)を伝えますが、海外では、相手が名前を名乗ってこちらの名前を言うまでは、こちらの名前は言いません。もしかしたら当てずっぽうに電話をかけて、その電話番号の持ち主の名前を聞き出しているのかも知れません。
⑧外出予定、外出先を漏らさない
家族全員での外出や旅行などの予定を、不要に誰かに話すことはしません。SNSなどで家族旅行している写真などを投稿するのもおすすめしません(帰ってからでもよいでしょう)。
⑨家族全員が一度に家を出ない
自家用車で外出するなら別ですが、できる限り、家族全員が家をでるところは見られないようにします。そういったときは時間差で外出します。
⑩全員外出時には照明ひとつとテレビかラジオをつけっぱなしにする
家に誰も残らないときには、最低照明ひとつとテレビやラジオなど音のでるものをつけっぱなしにしておきます。
⑪外出・帰宅のルートはいつも同じにしない
通勤や通学のいつも同じルートを使わないようにします。できるだけ、行動をパターン化しないことです。
海外で外出する時にすべき防犯対策
つぎは、海外で外出するときの心がけです。
- 目立つ服装は避ける
- お金は使う予定額だけ持ち歩く
- ショルダーバックなどはたすき掛けにする
- 財布や現金、小銭、クレジットカード、パスポートなどは分散して持ち歩く
- シークレットポーチを活用する
- 強盗にあげてしまう用の財布を用意しておく
- ながしのタクシーには基本的に乗らない
- タクシーを降りるときは荷物の数を確認
- 乗合バスでは最後尾に座らない
- 危険な区域をよく調べておき、そこには立ち入らない
- 夜間にひとりでの外出はできるだけ控える
- 人混みや人が密集している場所には近づかない
- 街中で話しかけられても立ち止まらない
- どんなにうまい話でも知らない人についていかない
- スマホを見ながら歩行しない
- 歩行中は5秒に一度は後ろを確認
- 怪しげな人やグループがいたら、近づかずに道の反対側へ渡る
- 夜間は道の角からは離れて歩く
- レストランで椅子の背もたれにバックをかけない
- 銀行やATMでお金を下ろしたら、その前で客待ちのタクシーには乗らない
- 貴重品や財布の中身を人前で見せない
- 声を掛けられる、服を汚される、お金が落ちてるなど異変があったら、まず周囲に注意する
- 他人と無用な口論をしない、恨みをかうようなことはしない
海外で普段から心がけるべき防犯対策、個人情報管理
海外での防犯対策で大切なのは、個人情報の管理です。誰がどこであなたの情報を収集しているか分かりませんので、不特定多数の人にあなたの個人情報が知られるような行動はできるだけ避けましょう。個人情報管理は何もSNSや電話アンケートばかりではありません。
・所得レベルが知れるような持ち物や服装
・毎日のルーチンや自分の所在が知られるような行動パターンや言動
・家族構成が知られるような行動や言動
・見知らぬ人に必要以上の自分の情報を与えていないか
海外では、こういったことに注意を払いながら行動してください。
まとめ:最も危険なのは自分の防犯意識のゆるみ
日本は世界でも指折りの治安のよい国です。
そんな日本から急に海外へ出て、頭の切り替えをしないまま過ごしていると、痛い目に合う恐れがあります。
ここまで読んだ人のなかには、「海外は一時も緊張を緩めることができない恐ろしいところ」という印象を抱いてしまった人もいるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。
防犯のポイントさえ掴んでしまえば、あとは日本での生活のように、ふつうに暮らしてゆくことができます。毎日怯えながら暮らすようなら、そこにいる意味がないですからね。
防犯のための最善の策は「犯罪の抑止」。常日頃から自分の防犯意識の高さを見せておくことで、相手の犯行意思を萎えさせることです。相手もリスクの合わないことはしません。
ですから、こちらの防犯意識のゆるみが、相手の犯行を誘うことにもなるのです。
しかし、もし不幸にも犯罪に巻き込まれてしまったら、けっして抵抗してはいけません。あなたの命以外は、すべて代わりがあることを忘れないでください。
また、渡航前にはぜひ外務省の海外安全情報に目を通して、情報を入手しておいてください。犯罪手口の予備知識は最大の防犯につながります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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