「語学留学に行って、英語を上達させたいって思うんだけど、ネットで調べてみると意外とネガティブな口コミも多いな。費用も安いわけじゃないし...もし意味がなかったら、お金と時間の無駄になるのはイヤだな。語学留学って実際のところどうなんだろう?」
こんな悩みを抱えている人は結構いるようですね。
海外での語学留学となれば、かなりのお金と時間を費やすわけですから、たしかな効果が期待できるのかどうか知りたくなるのは当然です。
ネットで調べてみても賛否両論ですし、はっきりしたところは、なかなか分かりません。
この記事では、イギリスでの語学留学の経験を持つ僕シロが、「語学留学は意味があるのかどうか」、正直なところをお答えします。
この記事は8分で読むことができます。
語学留学は意味がないのか?
この十年で語学を上達させるための手段は驚くほど多様化しました。駅前留学、オンライン英会話、Youtube、今ではスマホひとつでネイティブと英会話の勉強ができるようになりました。
それでも、今なお根強い人気を誇っているのが海外への語学留学です。語学留学の場合は、航空券、滞在費、語学学校の費用がかかりますので、上述のお手軽な英語学習の手段にくらべてお金も時間も費やすことになります。
では、語学留学することに価値はあるのでしょうか?
結論から言います。
僕の実体験からすれば語学留学はおおいに意味があります。
その理由をこれから述べてゆきます。
語学留学に意味がある5つの理由
語学留学することで得られる5つのメリットは:
- ①強い決意が芽生えるキッカケとなる
- ②ナマの英会話の例文が山ほど聞ける
- ③伝えたいことを相手に伝える能力が身につく
- ④イエスマンから脱却せざるを得ない
- ⑤教科書英語の花がひらく
①強い決意が芽生えるキッカケとなる
語学留学に行くと、まず空港に降り立ったところで受けるのが、外国語のシャワーです。海外旅行がはじめての人なら、さらにその衝撃は大きいでしょう。
そして、その外国語のシャワーは滞在中ずっと浴びることになるのです。
はじめは、どのバスや電車に乗るのか、トイレはどこか、食事はどこでとれるのか、道をきくのもすべて外国語で話さなければなりません。
うまく話せない恥ずかしさともどかしさ、それに大抵のネイティブはあなたが英語を話せるという前提で話してきますから、何を言っているのか聞き取るのも容易ではありません。
そこであなたは自分の英語力のなさに目覚めて、いままでの自信がすべて打ちのめされるでしょう。これは短期留学だろうと長期留学だろうと、かわらずに誰でも受ける最初の衝撃です。
でも、それでいいのです。
人間はとことん苦労してはじめて、強い決意を固めることができるのです。
そこで、
「こんなことで苦労するのはもうイヤだ、早く帰りたい」
とおもうか、
「よし!最低でも日常会話がふつうにできるようになるまで絶対に英語をあきらめないで頑張るぞ!」
となるかはあなた次第です。
こういうときに固めた決意はなかなか崩れるものではありません。だから、帰国した後も英語を継続して勉強できるしょう。
日本の中で英語を勉強していてはこういった体験は決してできません。これは、海外語学留学ならではの体験といえるでしょう。
②ナマの英会話の例文が山ほど聞ける
日本での英語の勉強はどちらかというと英語のパターンの勉強です。それはそれで悪いことではありませんが、言葉は生きています。
私たちが5才の子どもの英会話にもかなわないのは、毎日、彼らは生きた英語を覚えているからです。
「ジス・イズ・ザ・ペン」という英語をつかう場面が実生活にあるでしょうか?
「わたしはあなたを愛してます」と愛の告白をする日本人がいるでしょうか?
ですから、ネイティブどうしが交わすナマの英会話を聞くのは貴重な体験です。学校では教えてくれなかった、ナマの英会話の中でのパターンを実戦で覚えてゆくことができます。
ホームステイ先の人などにその地方の方言やアクセントを教えてもらうのも「はなしのネタ」になるでしょう。
③伝えたいことを相手に伝える能力が身につく
外国で生活をはじめれば知らないことだらけ。何をするにしても誰かに教えてもらわなければなりません。
今なら、スマホひとつで現地の人と会話を交わさなくても、目的の場所に行ったり、ホテルを予約したり、チケットを買うことができます。
でもそれをやっては終わりですよ。ひとつひとつの機会が英語の勉強です。スマホは極力見ないで、何でも人に尋ねてみましょう。
必要性にかられれば、ものごとは身につくものです。ときには航空機のトラブルや遅延で航空会社の係員と英語でやりあったり、ホームステイ先の生活環境の改善を交渉したりしなければならないこともあるでしょう。
英語でクレームや交渉がなんとかできるようになれば、あなたの英語レベルも上がっているはずです。
現地で人に尋ねたりお願いしたりすることは、あなたの英語の上達を助けますが、くれぐれも詐欺やスリには気をつけてくださいね。
日本の大使館が発信している現地での犯罪情報には目を通しておくべきです。
④イエスマンから脱却せざるを得ない
かつて日本人は「イエス」しか言わないと外国人におもわれていた時期がありました。
今では多くの日本人が海外へ旅行するようになり、旅慣れたバックパッカーの若者たちも世界をまたにかけて旅していますので、さすがに海外での日本人のイメージは変わってきたはずです。
しかし、語学留学で留学先に到着したばかりのころは、ネイティブの話すことがなかなか聞き取れません。それでも、黙っているわけにもいきませんから、何か言われれば、
「イエス」と微笑
何を言われても、
「イエス」と微笑
になってしまう人がやはりいます。これは日本人のやさしさの表れとも言われていますが、海外ではそうは見てくれません。
「日本人って何考えているのか分からない」
となるのです。
でも、語学学校では「イエス」と微笑だけでは済まされません。さまざまな課題があなたを待っているのです。
否応なしにイエスマンから脱却せざるを得ないでしょう。
⑤教科書英語の花がひらく
日本の学校での英語学習は受験用で、実戦には役に立たないとよく言われます。しかし、そうとも言い切れません。
日本人が苦手なのは英会話なのです。
それはヨーロッパの国々と異なり、日本では圧倒的に英語で会話する機会が少ないからです。
逆に、日本人は英文法については他国の人よりデキがよかったりします。
語学留学して刺激を受けることで、今までため込んで忘れていた教科書英語の知識の花がひらくときがくるかもしれません。
そうなれば、あとは実戦を重ねてゆくだけです。
語学留学で僕が経験できたこと
僕は短期ですがイギリスに語学留学したことがあります。かなり昔の話です。
ですが、その語学留学が今の僕につながっているとも言えるのです。
はじめは緊張と自分の英語力のなさで、なにがなんだかよく分からなかったことを覚えています。
語学学校には、おもにヨーロッパの国々からの生徒たちが来ていました。イタリアの高校生たち、フランスの一流企業のディレクタークラスの人、コロンビアの実業家など、年齢層も幅が広かったです。
はじめのホームステイ先のホストは黒いラブラドールを飼っている老夫婦でした。
午後のティータイムに裏庭を眺めつつ、ふたりで紅茶を飲みながら、まだ英語がよく聞き取れない僕に延々と昔ばなしを語ってくれたおばさん。
二軒目のホームステイには小学生の男の子がいました。週末には、その男の子と公園にいったり、劇場に行ったり、マクドナルドを食べに行ったりして過ごしました。
英語があまりできない僕をガイドしてくれていたのでしょう。
イギリスでの語学留学で僕はこんな経験ができました:
- ヨーロッパの人たちは、はじめて会った外国人でも、まるで国籍など無いかのようにすぐに友達になる。自分がつくづく「島国出身」だと思い知らされたと同時に、英語の必要性を実感させられた。
- 日本の学校では決して教えてくれなかった、イギリス英語の文法やフレーズを学ぶことができた。
- それぞれの国にはその国の訛りの英語があり、だれもがその訛った英語で堂々と話している。日本人英語だって恥じることはまったくないことを知った。
- 英語ができれば自分の世界が一国1億3千万人から、全世界に広がる可能性を感じた。
- この語学留学をきっかけに、その後、僕は約10年の間、イギリス圏で仕事をしつつ生活することになりました。
【語学留学だけで完結するとおもわないこと】
せっかくお金を使って行く語学留学をさらに有意義なものとするために、僕の経験からみなさんにシェアしたいことがあります。それは、語学留学の前と後のはなしです。
もし僕が語学留学へ行く前に、日本で英会話教室にでも通って、もう少し英会話の能力を身につけていたら、語学留学はその英語環境を最大限に活用して、もっと有意義なものになっていたはずです。
日本人は学校教育で読む書くの勉強、つまり英語文法やテストのコツのようなものには慣れており、ある程度の点を取ってしまったりします。僕も留学時のレベル判断テストで、いきなり上級者クラスに入れられてしまいました。同クラスの他の生徒の英会話レベルを目の当たりにして、その日のうちに中級者クラスへ変更してもらいました。会話がまったくついていけなかったのです。日本人に足りないのは英会話力だということをつくづく実感しました。
ですから、語学留学の前には、まずある程度の英会話力を身につけておくことを強くおすすめします。そうすることで、語学留学のメリットを最大限に活用することができ、留学中に学べることが飛躍的に多くなるでしょう。そして、語学留学が終わったあとにも、学んだことを忘れてしまわないためにも、継続して生の英語に触れていることが大切です。
今ではインターネットを使って自宅から英会話を学べるサービスが多くあります。語学留学前と後にこういったサービスを利用しない手はありません。
英会話については、このような記事もありますのでどうぞ。
語学留学中に注意すべき3つのこと
もちろん、語学留学には否定的な意見があることも知っています。
「長い海外旅行みたいなもの、ただ遊びたいだけだろ」とか、
「日本にいたって、それぐらいの英語の勉強はできる」とか、
「語学留学したからって、英語がペラペラになるわけじゃない」などなど。
どれもごもっともなご意見です。
でも、語学留学でしかできない貴重な体験もあるはずです。
そんな、貴重な体験を逃さないために、語学留学中に注意すべきことがあります。
それはつぎの3つ:
- ①ネイティブ英語に近づこうなんて思わないこと。グローバル英語でいい。
- ②コンフォートゾーンをつくらない
- ③部屋にこもって勉強ばかりしない
①ネイティブ英語に近づこうなんて思わないこと。グローバル英語でいい。
ネイティブイングリッシュの真似をすることは悪いことではありません。
でも、「綺麗に発音できないと恥ずかしい」、「間違ったらみっともない」という意識になると、せっかくの会話の機会を逃してしまいます。
それよりも、まずは発言の数を増やして、会話の流れに乗る努力をするべきです。
インド人にはインド訛りの英語、フィリピン人にはフィリピン訛りの英語があるように、日本人訛りの英語でもいいのです。
ネイティブよりグローバルイングリッシュを目指しましょう。
②コンフォートゾーンをつくらない
人は自分の慣れた環境から、なかなか外へ出づらいものです。語学学校でも、日本人だけでグループをつくって行動してしまう人たちがいます。
でも、それではせっかくの海外での語学留学も、日本にいるのと変わりがなくなってしまいます。お金の無駄というもの。
留学中は、できるだけコンフォートゾーンには入らずに、自分をあたらしい環境においてください。あたらしい環境も慣れれば、今度はそこもあなたのコンフォートゾーンになるのです。日本語環境はできるだけ排除しましょう。
③部屋にこもって勉強ばかりしない
自分の部屋で英語の勉強をするのは良いですが、部屋にこもってばかりでは、実際のコミュニケーションの機会を逃してしまいます。
さっさと予習・復習を終えて、ホストファミリーの人たちや、友達と会話を楽しむか、街へ出てあたらしい発見をしましょう。
語学留学は日本でのコンフォートゾーンから抜け出すことで、異国の真新しい環境のなかで、あなたに多くの刺激を与えてくれるはずです。
滞在中は何のために語学留学にきたのか、つねに目的意識をもって行動することです。あなた次第で、あなたの語学留学は意味のあるものにも、無意味なものにもなるでしょう。
僕の場合は、イギリスでの語学留学でしたが、これがアメリカであっても、オーストラリアやフィリピンであっても変わりはありません。
あなた次第で、その語学留学を何にも代えがたい思い出深いものにすることができます。また、僕がそうであったように、語学留学があなたのその後の人生を変えてしまうような転機になるかもしれません。
最後にひとつだけ。
語学は単なるコミュニケーションのツールです。そのツールを使ってこれから何をするのか、そのことを意識しつつ英語の勉強に励めば、目的を見失いことがないでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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